今日は、p.225のラストまで、読みました。p.220下の「〜から〜まで」という表現の列挙は、レオナルドの精神の運動性をなぞっています。今日読んだところでは、やはり、「飛行機」を創ろうとするレオナルドの肖像が実にいきいきした印象を与えます。レオナルドの手稿には、ハンググライダー型やヘリコプター型の飛行機械のメモが数多く見られます。「飛ぶ人間」レオナルドというイメージは、ヴァレリーにとって若い頃から、「万能の天才」の特権的なシンボルイメージでした。1895年の『レオナルド・ダ・ヴィンチ方法序説』の熱のこもった文章の調子は、1942年のこの短いエッセーでも変わっていません。pp.224-225の結論部では、レオナルドにおいて、現代的な専門分化の意識は見られず全ての事柄が問題となっていたこと、また、専門分化がもたらす直接的な栄光にも無関心であったこと、そして、個人的な告白や自慢話などを手稿に残すことはなかったこと、などが指摘されていました。世界のあらゆる問題への関心、一般性志向、これらはどうやらヴァレリー自身の「カイエ」にも当てはまることのように思われます。さて、次回は5月19日となります。続くエッセー「レオナルド・ダ・ヴィンチの文章作品」を読み、それが片づいたら1935年の講演「芸術についての考察」に移ります。では、よいゴールデンウィークを!