今日は現代フランスを代表する詩人イヴ・ボヌフォワの詩論の一部を紹介しました。まず、1981年12月4日のコレージュ・ド・フランス開講講義『現前とイマージュ』の一節をゆっくりと読み、ヴァレリー形式主義的探求とは対立するボヌフォワの実存的詩学の一端に触れ、続いて、1963年発表のエッセー「ポール・ヴァレリー」(『ありそうもないこと』所収)の一節を読み、「イデー」重視のプラトン主義者ヴァレリーに対して、《hic et nunc》「ここ、そして、今」重視のアリストテレス主義者たろうとするボヌフォワの立場が鮮明にされていることを確認しました。「在るところのもの、すなわち滅びるものを救おうという懸念」を「ポエム」のうちに見ようとするボヌフォワの詩論はとても宗教的な感じがします。次回は、今日お渡ししたプリントの残りを読みつつ、ボヌフォワの詩をいくつか、紹介してみたいと思います。