最終回

 今日は「海辺の墓地」の第9節から第12節まで読みました。テーマは海から墓地へと移っていきます。第12節に現れる「昆虫」は果たしてセミか、アリか、あるいは、別のものか。イメージとしては、人間の肉が落ちて、骸骨というエッセンスへと還元されていく感じから、アリか(ローラーさんの解釈)、それに似たたぐいのものが思い浮かびますが、一方で、墓地の周囲にある樹木の幹にとまったセミが明確な(net)鳴き声でミンミン歌っているイメージも捨てがたいものがあります。全般的な傾向として、「海辺の墓地」の詩節の構成は、シンメトリーあるいはコントラストが利いていて、単調に堕すことがありません。また、ところどころ、面白い音の効果(アリテラシオンやアソナンスの効果)があって、声に出して読む者の官能に訴えます。結局、七月の四回の授業で読んだのはちょうど半分まででした。残りはまた休み明けに淡々と続けましょう。できれば休み中に残りの12詩節を注釈も合わせて読んでおいてくだされば幸いです。