今日は、まずプレヴェールについて、続いてブルトンの『ナジャ』について発表をしていただき、続いて私のほうから『シュルレアリスム宣言』の一節を紹介させてもらいました。お洒落な中にも凛とした批判的精神が漲り、音楽性と映像感覚に富んだプレヴェール(あの『天井桟敷の人々』の脚本も彼です)の詩や、想像力の解放を説くブルトンのテクストを読むと、ああ20世紀に入ったんだなあ、と感じます。『ナジャ』は自伝的なテクストであると同時に恋愛小説であり、さらにブルトンの思想小説でもあるという、実に重層的なテクストですね。魅惑的なイメージが豊かに散りばめられていると同時に、『シュルレアリスム宣言』と直結するテーマの展開が見られて、興味が尽きません。シュルレアリスムは定義上「人生の主要な諸問題の解決」を目指す以上、単なる文学の革命から、より射程の広い、一般的な革命的思想運動(文学芸術政治全般の革新を目指す基本的ムーヴメント)へとつながるスケールの大きさを持っていることが改めて認識されます。さて、本日で、年内の授業は終わりです。冬休みの間に、レポートの準備を意識して、どうか皆さん、のびのびと読書に励んでください。レポートの分量は前期よりも少なめ、3000字程度を考えています。19世紀後半以降(だいたいボードレールフローベール以降から現代まで)のフランス文学の作品からひとつを選んで、面白いと思う点を中心に自由に論じてください。また連絡します。それでは、年明け1月9日にお会いしましょう。