今日はp.70の下から5行目まで読みました。「文学の科学」の節の残りの部分、「理解可能性」がその客観性の基準だというのですが、少々わかりにくかったですね。でも、確かなのは、このあたりのテクストの時制は単純未来形が多く、バルトの考える「文学の科学」は、完成されたものとしてではなく、今後ありうる企てとして語られているということです。p.68では、「文学の科学」の参照モデルとしては、言語学だけでは十分でなく、歴史学と人類学も必要であろうとされています。このあたりも含めて、「文学の科学」の構想について具体的な見通しを得るには、バルトの論文「物語の構造分析序説」を読んでみる必要がありそうです。とりあえず、疑問点は疑問点として残したまま、次の節「批評」に入りました。ここは、第一部ともダイレクトに関係する(ピカールさんも再びちょくちょく登場します)ので、比較的読みやすいのではないかと思います。p.69の批評家の役割を具体例を挙げて語った箇所――「ミノスとパジファエの娘」という有名な一句について「それはフェードルのこと」と言うのは文献学者で、「冥界的主題と太陽的主題の意味の網の目をそこに看取する」のが批評家である、というところ――はカッコイイ表現でした。さて、この授業は来週で年内最終となります(17日からの一週間は中地先生の集中講義)。p.74の下から4行目あたりまでは進んでおきたいと思っています。