今日は、テクストの残りを最後まで、読みました。デカルトの『方法序説』の文体、言葉遣いについて、きわめてシンプルで人間的と評したヴァレリーは、その誇り高くしかも親しみ深い言葉には「効果」や「計略」はない、と言っています。言外に、パスカルの文章との対比の意識があるように思われます。p.791の下のほうでアテネバルバロイに自らをなぞらえる部分は、ヴァレリー得意の哲学嫌いの表現です。しかし、ヴァレリーが国際哲学会の基調講演をこなし、フランス哲学協会で何度も招待講演をする事実が示しているのは、哲学が嫌いなヴァレリーが哲学者からは好かれているということでしょうね。さて、ちょうどキリのよいところまできましたので、今期のこの授業はこれで終了です。後期はヴァレリーパスカル論を集中的に読む予定です。