最終回

 今日は、まずお二方に発表していただきました。カミュ『シーシュポスの神話』における意識の積極性。ジュネ『泥棒日記』におけるorgueil(自恃)の力。いずれも、最終回にふさわしい力の籠もった発表でした。まだ読んでいない人が、お話を聞いていて読んでみたくなる、そういう誘惑力がありました。さて、これで一通り受講生の皆さんの発表が終了しましたが、諸般の事情によって発表に至らなかった方々も、普段出席しておられた方々については「出席状況」を考慮しますので、諦めずに、是非、レポートのほうで頑張っていただきたいと思います。残り時間は、私のほうから、いわゆるクレオール文学の運動について、その背景を説明し、マニフェストとしての『クレオール性礼賛』から元気な部分を紹介してみました。フランス語圏はおよそ1億8千万人、そのうちフランス本土が6千万人、残り1億2千万人はフランスの外(アフリカ諸国やカナダなど旧植民地地域、ベルギー・スイスなどの近隣諸国その他)に暮らしているという事実に、皆さんの注意を促しました。いわゆる「フランス文学」は、実際には「フランス語圏文学」という広がりを持っているわけですね。というわけで、本年度の仏文概論も、皆さんの協力のおかげで無事、終点にたどりつくことが出来ました。1月31日締切のレポート、力作を待っています。それと、来年度ですが、実験的に、フランス語表現による20世紀の文学にテーマを絞ってみたいと思っています。興味のある方は、余裕の範囲で、ご参加ください。2月、3月、少し時間が持てるのではないでしょうか?どうぞ、読書に打ち込む時間を確保して、新学年につなげてください。とりあえずは、皆さん、お疲れ様でした。