最終回

 本日にてラストとなりました。最後の節「レクチュール」をざっと読みました。p.77やp.78で既に現れていた「再構成」(reproduire / une nouvelle efflorescence / une nouvelle image)のテーマが、pp.82-84あたりで再度展開されています。「書くこと」とは、世界(書物)を壊して、それを「作り直すことrefaire」とされ、中世には、絶対の書物を「une nouvelle parole(新たな言葉)」でもって「reconduire(更新・延長・継続)」する責務を負った人々(scriptor / compilator / commentator / auctor)のシステムが機能したことが語られています。原典に「忠実」なはずのこのシステムでさえ、逆説的にも、「解釈」を産み、引用によって「un nouvel intelligible(新しい理解可能なもの)」が「構成される」とバルトは述べています。批評家は、伝達者として過去の素材をreconduireし、操作者として作品の要素をredistribuerするという意味で、commentatorに他ならない、とバルトはいいます。このあたり、反復を表示する「re」が集中的に現れています。前にも書いたように、とにかくもう一度読まないことには批評は始まらない、ということですよね。難しい部分が多くて、毎回大変でしたが、曲がりなりにもラストまで、一巻の書物を読み通すことが出来ました。読み取れた範囲で、何かしら今後に生かしうる部分が、ほんの少しでもあったとしたら幸いです。2月と3月は、比較的まとまった時間があると思います。この貴重な時期に、どうか皆さん、まとまった読書に励んで、「新たな言葉」を紡いでみてください。