今日は、まずヴァレリーの『ムッシュー・テストと劇場で』について、続いてコクトーの『恐るべき子供たち』について発表をしていただきました。『テスト氏』は、特に派手な事件が起こるわけでもなく、語り手の「私」が「テスト氏」という人物の様子や彼と一緒に過ごした観劇(とその後)の夕べをめぐって語る短いテクストですが、意味の網の目がいろいろと発展していく実に面白い象徴主義的現代小説です。精神の人という側面だけでなく、身体の人という側面も重要であることを強調しておきたいと思います。残り時間は、1922年の詩集『魅惑』から「消え失せた葡萄酒」と「海辺の墓地」(抄訳)の二篇を読みました。後者については、光、静寂、古代、永遠、死と生、思考と身体といった様々なモチーフが溶け合って反復されている様子に触れました。真昼の静かな海が、詩人の言葉によって「魅惑」されたのでしょうか、最後の部分で、風が立ち、海が動き出します。その変化が、死から生へのモチーフの転換と平行している点が印象的でした。さて、来週は年内ラストとなります。アンドレ・ブルトンについてお話をする予定です。