今日は、ヴァレリー「マネの勝利」の続きを、p.1359の下から2行目まで、読みました。マネによるベルト・モリゾ肖像画についてのヴァレリーのテクストは強烈です。何よりもまず「黒」が印象的だと述べる段落の次の段落で、幅広の黒いリボン飾りが喪帽のうえにつけ加わるのですが、使われている言葉の群れによって、これが奇妙な生物感をもたらすことに気づきます。この絵には欲望のエロスが黒いリボンとなって巻き付いているようです。フェルメールとの対照で現代人であるマネは筆が速く、制作も速いことが述べられていますが、意識的か無意識的か、このあたりのヴァレリーの表現はボードレールの表現と重なっているという興味深い事実が発表者の方によって指摘されました。学ぶことの多い、その意味で、味わい深い文章です。次回で最終回。ちょうど、この「マネの勝利」も最後まで読み終えることができそうです。