今日は、前回読んだヴァレリー「マネの勝利」の「巨匠」の定義部分を再読し、瞬間と永遠を同時実現する作品を作る大芸術家がその定義となっていることを確認し、ボードレールの現代性概念、マラルメの芸術論、そして二人の先輩大詩人に連なるヴァレリーの芸術論という、三世代に脈々と流れる、瞬間/永遠という絶対矛盾の自己同一の芸術論を確認しました。ヴァレリーのテクストは一見さらっと抽象的に書かれているようでいて、実はちゃんと具体的な参照の裏打ちがある場合が多くあります。「マネの位置が巨匠たちの間に刻印されること」という表現も、実際に、マネの絵をルーヴル美術館に収蔵するためのモネの運動を知ると、その意味合いが一気に鮮明化します。次回は、いよいよ、ヴァレリーが並々ならぬ気合をもって表現しようとしたベルト・モリゾ肖像画についてのテクストです。引き続き、予習をどうぞよろしく。